2022/03/15 16:39
こちらでは 新作 黒羽ドレスの製作プロセスやのコンセプトの一部を綴っています。しばしお付き合いいただけますと嬉しいです。
【Theme 】
気分が落ち込み、暗く闇の中にいる様な時、生まれてくる気付きや感覚があります。真に大切なものに気付いたり、暗闇の中だからこそあぶり出される強さや美しさがあると思うのです。苦難や経験を重ねている大人の女性の強さとしなやかさは、暗闇によって強く輪郭を描きます。Kurohaは、暗闇=黒によって美しく表現される大人の女性に向けたドレスです。
【Textile & Effect 】
LiTAは自然を纏うをテーマに天然素材や天然染色による服作りをしており、今回は開発当初から念頭にリネンが浮かんでいました。リネンのざっくりとした風合いは、黒に程よいリラックス感を与えてくれるからです。そして黒羽ドレスの黒、品はあるけど堅苦しくなく、どこか抜け感のある 粋な黒という、ターゲットの''すみ黒''をどの様な手法で得るかを考えました。
泥染めや炭染めなど天然染めの手法も候補にあがりましたが、今回は黒染めの生地をウォッシュ加工により表情を変える、という方法を取りました。ウォッシュ加工により、リネン特有の硬さを取り除き風合いを柔らかくしつつ、既存の黒からフェードさせ''すみ黒''を得たいという目的の基、2種類の素材でバイオウォッシュとフロスト加工で実験を重ねていきました。最終的には下写真リネンコットンの素材でバイオウォッシュ×タンブラー仕上げにより柔らかくふっくらした風合いに仕上がりました。黒色も少しフェードされ、重さの取れた春夏らしい''すみ黒''色が得られています。
16番の太番手で織られた素材。ヘリンボン組織で表面感があり麻特有のナチュラルなルックスが特徴。
《テスト過程》
【素材】リネンコットンヘリンボン 【加工方法】左:バイオウォッシュ×タンブラー 右:フロスト加工 ※バイオウォッシュ→酵素の力で繊維を柔らかく仕上げる加工で経年変化を得た様な風合いが特徴。※フロスト加工→経年変化の様な自然なフェード感が得られる加工。https://uchida-d-works.co.jp/processing
【素材】テンセルリネンツイル【加工方法】左:バイオウォッシュ×タンブラー 右:フロスト加工
《デザイン過程》
左側素材:それぞれ違う加工方法や素材により、黒の発色も様々。
トワルチェックの様子、シーチングで両身組まれたものを確認。
黒羽ドレスは内側に在る、感情や頭に描かれた情景を辿るようにして、それらを素材やデザインに落とし込み、形にしていく作業をしていきました。そして服としての着心地、機能を携えるのは勿論のこと、大人の女性の身体に寄り添うパターン設計と仕様になっております。数々の工程を経て職人縫製により整然と仕上がった黒羽ドレス。こだわりのつまったデザインについては、次回に続きたいと思います。
最後までお読み合いいただき、ありがとうございました。
2022.03.16
LiTA デザイナー : Chisato